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研究チーム

高岡 洋輔

ユビキチンコード解析のための二次構造に寄らないステープルペプチドの創製

高岡 洋輔

研究代表者 高岡 洋輔

北大学大学院理学研究科化学専攻 有機化学第一研究室 講師
http://www.orgchem1.chem.tohoku.ac.jp/orgchem1/Home.html

研究概要

本研究では、ユビキチンリガーゼと相互作用する基質タンパク質の三次元構造を、生体直交性有機反応によって固定化する新たなstaple peptide設計戦略を開発します。またこれを用いて、これまでほとんど未開の領域であった植物ホルモンを介したユビキチンバイオロジーを分子レベルで解析する手法へと展開します。
植物ホルモンの多くは、ユビキチンリガーゼ類と転写制御因子(リプレッサーなど)とを糊付けするmolecular glueとして機能します。通常リプレッサーは、転写因子と相互作用して転写を抑制していますが、植物ホルモン存在下ではユビキチンリガーゼと三者複合体を形成し、ユビキチン化および分解を受け、様々な応答を引き起こすとされています。ただし、この詳細な機構を調べた例は非常に限られており、不明な点が多く残されていました。
本研究で対象とするジャスモン酸(JA-Ile)の共受容体:ユビキチンリガーゼF-boxタンパク質COI1と転写リプレッサーJAZの組み合わせでは、JAZは通常状態で転写因子(MYC)と複合体を組んでおり、JA-Ileが産生されるとCOI1との三者複合体を形成し、分解されて転写が活性化されます。これら2状態の結晶構造解析の結果、JAZはdegronと呼ばれる不安定なドメインで、COI1/MYCそれぞれの相互作用相手によって大きく構造を変化させます(helixが一部ほどける:Fig. 1a)。さらに複雑なことに、JAZには13種類のサブタイプが存在しており、それぞれの遺伝的重複も高いことが解析を困難にしています。我々は世界に先駆けて、13種類のサブタイプのうち特定のサブタイプとCOI1との複合体形成のみを選択的に誘導する、サブタイプ選択的小分子リガンドの開発に成功してきました。また、私自身はこれまでに有機化学を基礎としてタンパク質やペプチドに対する化学修飾法の開発を手がけてきましたので、これらのノウハウと材料を生かし、本研究では、COI1とJAZとの結晶構造をもとに、COI1に選択的に結合するJAZペプチド型リガンドとして、ランダムループ構造を生体直交性反応によって固定化するLoop-staple peptide (LSP)を開発します(Fig. 1b)。また、これを基に全長タンパク質を半合成することで、in vitroにおける植物ホルモン受容体のユビキチンコード解析につなげます。

研究概要を示す模式図

研究概要を示す模式図

Figure 1. (a) JAZの相互作用相手に応じた構造変化. (b) COI1特異的Loop-stapled peptide (LSP)の設計戦略.

代表的な論文

  1. Takaoka, Y., Iwahashi, M., Chini, A., Saito, H., Ishimaru, Y., Egoshi, S., Kato, N., Tanaka, M., Bashir, K., Seki, M., Solano, R., and *Ueda, M. (2018) A rationally designed JAZ subtype-selective agonist of jasmonate perception. Nat. Commun. 9, 3654.
  2. *Takaoka, Y., Nagumo, K., Azizah, I. N., Oura, S., Iwahashi, M., Kato, N., and *Ueda, M. (2019) A Comprehensive in vitro fluorescence anisotropy assay system for screening ligands of the jasmonate COI1-JAZ co-receptor in plants. J. Biol. Chem. 294, 5075-5081.
  3. Takaoka, Y., Uchinomiya, S., Kobayashi, D., Endo, M., Hayashi, T., Fukuyama, Y., Hayasaka, H., Miyasaka, M., Ueda, T., Shimada, I., and *Hamachi, I. (2018) Endogenous Membrane Receptor Labeling by Reactive Cytokines and Growth Factors to Chase Their Dynamics in Live Cells. Chem, 4, 1451-1464.
  4. Yoshii, T., Mizusawa, K., *Takaoka, Y., and *Hamachi, I. (2014) Intracellular Protein-responsive Supramolecules; Protein Sensing and In-cell Construction of Inhibitor Assay System. J. Am. Chem. Soc. 136, 16635-16642.
  5. Takaoka, Y., Ojida, A. and *Hamachi, I. (2013) Protein Organic Chemistry and Application for Labeling and Engineering in Live-Cell Systems. Angew. Chem. Int. Ed. 52, 4088-4106.