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研究チーム

高橋 宏隆

USPファミリーの脱ユビキチン化酵素を特異的に阻害する低分子化合物の開発

高橋 宏隆

研究代表者 高橋 宏隆

愛媛大学 プロテオサイエンスセンター 無細胞生命科学部門 講師
http://www.pros.ehime-u.ac.jp/cell-free/

研究概要

脱ユビキチン化酵素(DUB)は、ユビキチン化されたタンパク質からユビキチンを除去したり、ポリユビキチン鎖を切断するプロテアーゼです。DUBは標的タンパク質のプロテアソーム分解からの保護や、ユビキチン化修飾によるシグナル伝達の抑制などを介して、様々な細胞応答を制御する重要な因子です。近年、細胞内においてDUBが高発現することで、本来分解されるべきタンパク質の異常蓄積などを引き起こし、これが様々な疾患の原因となることが報告されており、DUBは創薬の新たなターゲットとして注目されています。
本研究では、愛媛大学プロテオサイエンスセンターが独自に開発したコムギ無細胞タンパク質合成系を駆使し、ハイスループットなDUBの阻害剤探索系と、40種類以上のDUB組換えタンパク質を用いたDUB阻害剤特異性の評価系の構築を行ってきました(図1)。これまでに我々はUSPファミリーのDUB(以下、USP)に高度に保存された酵素活性部位に結合し、USPのみを阻害するユニークな低分子化合物Subquinocinを見出しています。USPファミリーは約100種類と言われるDUBの半数以上を占めており、生理学的に重要なDUBが多く含まれております。
本研究ではこのSubquinocinをベース化合物として、in silico解析手法を基盤に、特定のUSPのみを特異的に阻害する誘導体化合物の取得を目指します。特に本研究では、タンパク質分解や炎症・免疫応答シグナルに重要な役割を担うUSP14, USP15, CYLDの3種のUSPに着目し、これらの特異的阻害剤の開発を目標とします(図2)。得られたUSP特異的阻害剤は、細胞内におけるUSPの機能や役割の解明において非常に有用なケミカルプローブとなるだけでなく、USPが関与する疾患への創薬のシーズとしても期待されます。また本研究を通じて、DUB特異的阻害剤を創出できるプラットフォームを構築し、国内外のDUB阻害剤開発への貢献を目指します。

研究概要を示す模式図

研究概要を示す模式図

Figure 1. (a) JAZの相互作用相手に応じた構造変化. (b) COI1特異的Loop-stapled peptide (LSP)の設計戦略.

代表的な論文

  1. Takahashi, H., Uematsu, A., Yamanaka, S., Imamura, M., Nakajima, T., Doi, K., Yasuoka, S., Takahashi, C., Takeda, H., and *Sawasaki, T. (2016) Establishment of a Wheat Cell-Free Synthesized Protein Array Containing 250 Human and Mouse E3 Ubiquitin Ligases to Identify Novel Interaction between E3 Ligases and Substrate Proteins. PLoS ONE 11, e0156718.
    doi:10.1371/journal.pone.0156718
  2. Takahashi, H., Nemoto K, Ramadan A, and *Sawasaki T. (2015) Technology of wheat cell-free based protein array for biochemical analyses of protein kinases and ubiquitin E3 ligases. In: Inoue J, Takekawa M (eds) Protein Modifications in Pathogenic Dysregulation of Signaling. Springer Japan, 43-60.
  3. Takahashi, H., Takahashi, C., Moreland, N.J., Chang, Y.-T., Sawasaki, T., Ryo, A., Vasudevan, S.G., *Suzuki, Y., and *Yamamoto, N. (2012) Establishment of a robust dengue virus NS3-NS5 binding assay for identification of protein-protein interaction inhibitors. Antiviral Res. 96, 305-314.
    doi:10.1016/j.antiviral.2012.09.023
  4. Takahashi, H., Ozawa, A., Nemoto, K., Nozawa, A., Seki, M., Shinozaki, K., Takeda, H., Endo, Y., and *Sawasaki, T. (2012) Genome-wide biochemical analysis of Arabidopsis protein phosphatase using a wheat cell-free system. FEBS Lett. 586, 3134-3141.
    doi:10.1016/j.febslet.2012.08.014
  5. Takahashi, H., Nozawa, A., Seki, M., Shinozaki, K., Endo, Y., and *Sawasaki, T. (2009) A simple and high-sensitivity method for analysis of ubiquitination and polyubiquitination based on wheat cell-free protein synthesis. BMC Plant Biol. 9, 39.
    doi:10.1186/1471-2229-9-39