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研究チーム

及川 大輔

直鎖状ユビキチン鎖を標的としたケモテクノロジーによる病態解析

及川 大輔

研究代表者 及川 大輔

大阪市立大学大学院医学研究科分子病態学 講師
http://osaka-cu-1seika.umin.jp/

研究概要

ユビキチン修飾はタンパク質の寿命、細胞内局在、相互作用を調節することで多彩な細胞機能を制御しています。これを可能にしているのがユビキチン修飾の構造多様性であり、その機能情報はユビキチンコードとも呼ばれます。中でも、ユビキチンのN末端を介した特殊な連結様式により形成される「直鎖状ユビキチン鎖(M1鎖コード)」は、NF-κBなどの炎症シグナルや細胞死を制御するユニークかつ希少なユビキチンコードとして、近年、大きな注目を集めています。
私たちは、独自のスクリーニングによって直鎖状ユビキチン鎖の産生を特異的に抑制する新規化合物を同定し(SLAS Discov. 2018)、さらに、当該化合物をベースにした合成展開を進め、より高い阻害効率を備えた化合物も見出しました(BBRC. 2018)。本研究では、これらの研究ツール、あるいは新たに構築される解析技術を駆使し、直鎖状ユビキチンコード(M1鎖コード)を標的としたケモテクノロジー解析を進めます。

  1. 直鎖状ユビキチン鎖産生阻害剤を利用したケモテクノロジー解析
     独自に取得した当該化合物を利用し、各種炎症性サイトカインや病原体関連分子パターン(PAMPs)で惹起されるNF-κB、細胞死、IFN-βシグナルに対するM1鎖コードの動作原理と新たな生理機能を、癌や乾癬、ALSなどの病態形成機構と関連して明らかにします。また、これまでに取得している化合物群の構造比較、既存の構造データ解析を基にしたモデル化などの解析を進め、より高い阻害活性を備えた阻害剤の開発を進めます。さらに、当該化合物のラベル化による新規可視化プローブなど、新たなケモテクノロジーの開発にも取り組みます。
  2. OTULIN阻害剤の開発とケモテクノロジー解析
     直鎖状ユビキチン鎖の生成に拮抗的に働く脱ユビキチン酵素(DUB)であるOTULINに対する新規阻害剤の開発を進め、特異的分解阻害という観点からM1鎖コードの生理意義と動作原理にアプローチします。
  3. M1鎖デコーダー機能を標的としたケモテクノロジーの開発と解析
     化合物スクリーニングやステープルペプチドなどの技術を駆使して、M1鎖コードの認識を特異的に阻害する手法を開発します。また、得られた手法を利用し、特にALS発症と関連した炎症シグナルや細胞死制御に着目し解析を進め、M1鎖コードの認識異常に伴う疾患発症機序の解明を進めます。

研究概要を示す模式図

研究概要を示す模式図

代表的な論文

  1. Katsuya, K.+, Oikawa, D.+, Iio, K., Obika, S., Hori, Y., Urashima, T., Ayukawa, K., and *Tokunaga, F. (2019) Small-molecule inhibitors of linear ubiquitin chain assembly complex (LUBAC), HOIPINs, suppress NF-κB signaling. Biochem. Biophys. Res. Commun. 509, 700-706.
    doi: 10.1016/j.bbrc.2018.12.164 (+) equally contributed.
  2. Kato, K., *Nishimasu, H., Oikawa, D., Hirano, S., Hirano, H., Ishitani, R., Tokunaga, F., Kasuya, G., and *Nureki, O. (2018) Structural insights into cGAMP degradation by Ecto-nucleotide pyrophosphatase phosphodiesterase 1. Nat. Commun. 9, 4424.
    doi: 10.1038/s41467-018-06922-7
  3. *Katsuya, K., Hori, Y., Oikawa, D., Yamamoto, T., Umetani, K., Urashima, T., Kinoshita, T., Ayukawa, K., Tokunaga, F., and Tamaru, M. (2018) High-Throughput Screening for Linear Ubiquitin Chain Assembly Complex (LUBAC) Selective Inhibitors using Homogenous Time- Resolved Fluorescence (HTRF)-Based Assay System. SLAS Discov. 23, 1018-1029.
    doi: 10.1177/2472555218793066
  4. Nakazawa, S.+, Oikawa, D.+, Ishii, R.+, Ayaki, T., Takahashi, H., Takeda, H., Ishitani, R., Kamei, K., Izumi, T., Kawakami, H., Iwai, K., Hatada, I., Sawasaki, T., *Ito, H., *Nureki, O., and *Tokunaga, F. (2016) Linear ubiquitination is involved in the pathogenesis of optineurin-associated amyotrophic lateral sclerosis. Nat. Commun. 7, 12547.
    doi: 10.1038/ncomms12547 (+) equally contributed.
  5. *Iwawaki, T., Akai, R., Oikawa, D., Toyoshima, T., Yoshino, M., Suzuki, M., Takeda, N., Ishikawa, T., Kataoka, Y., and Yamamura, K. (2015) Transgenic mouse model for imaging of interleukin-1β-related inflammation in vivo. Sci. Rep. 5, 17205.
    doi: 10.1038/srep17205