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研究チーム

寺 正行

核酸高次構造を反応場とするユビキチンプロテアソーム誘導分子の開発

寺 正行

研究代表者 寺 正行

東京農工大学大学院 生命工学専攻 テニュアトラック准教授
http://web.tuat.ac.jp/~nagasawa/

研究概要

グアニン四重鎖 (G4)はグアニンリッチな配列モチーフで形成される核酸高次構造です。G4形成配列は染色体末端のテロメア、遺伝子プロモーター、RNAの非翻訳領域等で見出され、特にRNA G4は翻訳、スプライシング、細胞内局在等に関わることが示唆されています。生体内環境においてG4は動的な立体構造であり、一本鎖、部分的な二本鎖と共に平衡状態にあります。G4結合タンパク質(G4 Binding Protein: G4BP)や低分子(G4リガンド)との結合によってG4は形成へと平衡が移動することが知られています(図)。G4は核酸の配列ではなく「立体構造」に基づいて生物学的機能を発現するため、次世代型創薬標的や生命現象の新たな調節因子として注目を集めています。
RNAは相補鎖がないのでG4が形成されやすいと考えられ、G4ヘリカーゼDHX 9、スプライシングに関与するhnRNP、RNAの安定性と局在に関与するnucleolin等、これまでに約20種類のG4BPが同定されています。G4BPは動的なG4と協調して細胞機能をトランジェントに調節していると考えられますが、その報告の多くは無細胞系におけるG4オリゴRNAとの結合試験にとどまり、生細胞内でG4と結合することにより発現される機能はほとんど未解明です。RNA-タンパク相互作用は細胞機能に大きな影響を及ぼしますが、タンパク質間相互作用と比べて研究手法が確立されていません。そこで、我々がこれまでに開発してきたG4リガンドを用いればG4-PROTACによるG4 BPのユビキチン化とそれに伴うプロテアソーム分解を基盤に、RNA-タンパク相互作用解析の新たな研究ツールを開発できると考えられます。
本研究ではまず、独自のG4リガンドであるOTD、LCO、BBR類の3種にアジド基を導入したアジドG4リガンドとE3リガンドを様々なリンカーを介して合成化学的に連結し、G4-PROTACsを合成します。次に、入手容易なG4BPとRNA G4との組み合わせによって、G4を反応場としたユビキチン化反応を検証します。最終的にはG4-PROTACsを培養細胞に作用させ、G4BPがG4上で実際にユビキチン化され、ケミカルノックアウトを受けるかを評価します。これにより、G4BPの機能解明ツールG4-PROTACの開発へとつなげる予定です。

研究概要を示す模式図

研究概要を示す模式図

G4リガンド(OTD)をG4-PROTACへと構造展開しG4BPをユビキチン化させるケミカルプローブの概念図

代表的な論文

  1. Tera M, Harati-Taji Z, *Luedtke N W.
    Intercalation-Enhanced “Click” Crosslinking of DNA.
    Angew. Chem. Int. Ed. 57, 15405-15409 (2018)
    PMID: 30240107
  2. Tera M, *Luedtke N W.
    Three-Component Bioorthogonal Reactions on Cellular DNA and RNA.
    Bioconjug. Chem. 30, 2991-2997 (2019)
    PMID: 31697067
  3. *Tera M, Luedtke N W.
    Cross-Linking Cellular Nucleic Acids via a Target-Directing Double Click Reagent.
    Meth. Enzymol. 641, 433–457 (2020)
    PMID: 32713534
  4. Yasuda M, Ma Y, Okabe S, Wakabayashi Y, Dongdong S, Young-Tae C, Seimiya H, *Tera M,*Nagasawa K.
    Target identification of a macrocyclic hexaoxazole G-quadruplex ligand using a post-target-binding visualization.
    Chem. Commun. 56, 12905-12908 (2020)
    PMID: 33030187
  5. Sasaki S, Ma Y, Ishizuka T, Bao HL, Hirokawa T, Xu Y, Tera M,*Nagasawa K.
    Linear consecutive hexaoxazoles as G4 ligands inducing chair-type anti-parallel topology of a telomeric G-quadruplex.
    RSC Adv. 10, 43319–43323 (2020)