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研究チーム

及川 大輔

直鎖状ユビキチン代謝を制御する新規ケモテクノロジーによる疾患病態の抑制

有井 潤

研究代表者 及川 大輔

大阪市立大学大学院 医学研究科 分子病態学 准教授
http://osaka-cu-1seika.umin.jp/

研究概要

ユビキチンのN末端を介した特殊な連結様式により形成される「直鎖状ユビキチン鎖(M1鎖コード)」は、NF-kBなどの炎症シグナルやアポトーシスなどの細胞死を制御し、近年では、タンパク質凝集体形成にも関与することが指摘され始めています。このM1鎖コードは、HOIL-1L、HOIP、SHARPINからなるユビキチンリガーゼ複合体 LUBAC(linear ubiquitin chain assembly complex)により産生される一方、OTULINなどの脱ユビキチン化酵素により分解されることで、その代謝が制御されています。
これまで私たちは、LUBACに対する特異的阻害剤としてHOIPIN-8を見出し、in vitroでLUBAC活性を特異的に阻害し、細胞レベルにおいてLUBACによる炎症制御や細胞死制御をキャンセルすること、さらに、B細胞リンパ腫やマウス乾癬モデルに対して病態抑制効果を示すことを報告してきました。本研究では、HOIPIN-8に加え、OTULIN阻害剤の開発を通じて、M1鎖コードの代謝を「産生」と「分解」の両側面から制御し、M1鎖コードの新たな生理機能を探索するほか、関連する各種病態の発症・抑制メカニズムの解明を進めます。

  1. OTULIN阻害剤の開発とケモテクノロジー解析
    現在着手しているOTULIN阻害剤の開発を加速させ、特異性評価や構造基盤の解明を共同研究などにより進めると共に、各種シグナル経路に対する影響など、OTULIN-KO細胞との比較解析により細胞レベルでの機能性を評価します。さらに、HOIPIN-8と組み合わせた解析を行い、M1鎖コードの新たな生理機能を探索します。
  2. HOIPIN-8を用いたケモテクノロジー解析と疾患モデル評価
    これまでに報告されているB細胞リンパ腫や皮膚炎病態に加え、HOIPIN-8の病態抑制効果について広く検証を進めます。HOIPIN-8の動物個体内における代謝・物性を精査し、最適な投与方法を検討すると共に、タンパク質凝集体を伴う疾患群(プロテイノパチー)に対する解析にも着手します。これらの解析を通じて、ユビキチン創薬に向けた知見の取得を目指します。

研究概要を示す模式図

研究概要を示す模式図

代表的な論文

  1. Nakazawa S+, Oikawa D+, Ishii R+, Ayaki T, Takahashi H, Takeda H, Ishitani R, Kamei K, Izumi T, Kawakami H, Iwai K, Hatada I, Sawasaki T, *Ito H, *Nureki O, *Tokunaga F.
    Linear ubiquitination is involved in the pathogenesis of optineurin-associated amyotrophic lateral sclerosis.
    Nat. Commun. 7, 12547 (2016)
    PMID: 27552911
  2. Oikawa D, Sato Y, Ohtake F, Komakura K, Hanada K, Sugawara K, Terawaki S, Mizukami Y, Phuong HT, Iio K, Obika S, Fukushi M, Irie T, Tsuruta D, Sakamoto S, Tanaka K, Saeki Y, Fukai S, *Tokunaga F.
    Molecular bases for HOIPINs-mediated inhibition of LUBAC and innate immune responses.
    Commun. Biol. 3, 163 (2020)
    PMID: 32246052
  3. Oikawa D, Sato Y, Ito H, *Tokunaga F.
    Linear ubiquitin code: Its writer, erasers, decoders, inhibitors, and implications in disorders.
    Int. J. Mol. Sci. 21, 3381 (2020)
    PMID: 32403254
  4. Oikawa D, Hatanaka N, Suzuki T, *Tokunaga F.
    Cellular and Mathematical Analyses of LUBAC Involvement in T Cell Receptor-mediated NF-kB Activation Pathway.
    Front Immunol. 11, 601926 (2020)
    PMID: 33329596
  5. Miyashita H+, Oikawa D+, Terawaki S, Kabata D, Shintani A, *Tokunaga F.
    Crosstalk between NDP52 and LUBAC in innate immune responses, cell death, and xenophagy.
    Front Immunol. 12, 635475 (2021)
    PMID: 33815386