• 文部科学省
  • JSPS
  • 科研費
  • ユビキチンネオバイオロジー
  • ユビキチンネオバイオロジー
研究チーム

上田 洋司

UBL3ケモテクノロジーによる、エクソソーム輸送に対するユビキチン関連分子の解析

上田 洋司

研究代表者 上田 洋司

藤田医科大学総合医学研究所難病治療学講座 助教
http://info.fujita-hu.ac.jp/~nanbyou/

研究概要

ナノサイズの分泌小胞であるエクソソームは、ほぼ全ての細胞種からMultivesicular Body (MVB) を介して細胞外へ放出される小胞であり、産生細胞に由来する特定のタンパク質やmiRNAを内包し標的細胞に再び取り込まれることで、新たな細胞間コミュニケーションとして働き、癌転移や神経変性などの疾患を含めた様々な生命現象に関与していることが知られています。その中でも、がん転移に対する研究が盛んで、例えば、グリオーマ細胞で発現している活性変異型EGFRがエクソソームを介して伝搬すること (Al-Nedawi et al., Nat Cell Biol 2008) などが知られています。更に、アルツハイマー病の主因子として考えられているアミロイドβ、パーキンソン病のα-シヌクレイン、プリオン病のプリオンもエクソソームへ取り込まれることが報告されています(Rajendan L. et al., PNAS 2006; Lee et al., Nat Rev Neurol 2014; Vella et al., J. Pathol 2007)。しかしながら、一部の分子に対してはユビキチン化による関与が報告されていたものの(Putz et al., Sci Signal 2012; Smith et al., J Immunol 2015)、特定タンパク質のエクソソームへの輸送機構は完全には理解されておりませんでした。
我々は、ユビキチン様タンパク質UBL3が、新規翻訳後修飾因子として機能し、特定タンパク質をUBL3化修飾することでエクソソームへの輸送することを見出しました (Ageta et al., Nature Commun 2018)。さらに、GFPタグを付加させたユビキチン, SUMO, UBL3に対する、エクソソームへの輸送を比較したところ、ユビキチン化タンパク質もエクソソームへ輸送されていることを確認しました。また、UBL3に対する網羅的プロテオミクス解析により、約50個のユビキチン関連分子をUBL3結合分子として同定しました。以上の結果は、特定タンパク質の輸送はすべてUBL3化によって制御されるのではなく、部分的にはユビキチン化によって制御されていることを示しています。そこで本研究課題では、網羅的にエクソソーム輸送に対するユビキチン化の影響を調べることを目標とします。

研究概要を示す模式図

研究概要を示す模式図

代表的な論文

  1. Ageta, H., Ageta-Ishihara, N., Hitachi, K., Karayel, O., Onouchi, T., Yamaguchi, H., Kahyo, T., Hatanaka, K., Ikegami, K., Yoshioka, Y., Nakamura, K., Kosaka, N., Nakatani, M., Uezumi, A., Ide, T., Tsutsumi, Y., Sugimura, H., Kinoshita, M., Ochiya, T., Mann, M., *Setou, M., and *Tsuchida, K. (2018) A novel UBL3 modification influences protein sorting to small extracellular vesicles. Nat. Commun. 9, 3936.
    doi: 10.1038/s41467-018-06197-y.
  2. Ikeda D., Ageta H., Tsuchida K., and *Yamada H. (2013) iTRAQ-based proteomics reveals novel biomarkers of osteoarthritis. Biomarkers 18, 565-572.
    doi: 10.3109/1354750X.2013.810667.
  3. Ageta H., and *Tsuchida K. (2011) Multifunctional roles of activins in the brain. Vitam. Horm. 85, 185-206.
    doi: 10.1016/B978-0-12-385961-7.00009-3.
  4. Ageta, H., Ikegami, S., Miura, M., Masuda, M., Migishima, R., Hino, T., Takashima, N., Murayama, A., Sugino, H., Setou, M., Kida, S., Yokoyama, M., Hasegawa, Y., Tsuchida, K., Aosaki, T., and *Inokuchi, K. (2010) Activin plays a key role in the maintenance of long-term memory and late-LTP. Learn. Mem. 17, 176-185.
    doi: 10.1101/lm.16659010.
  5. Ageta, H., Kato, A., Hatakeyama, S., Nakayama, K., Isojima, Y., and *Sugiyama, H. (2001) Regulation of the level of Vesl-1S/Homer-1a proteins by ubiquitin-proteasome proteolytic systems. J. Biol. Chem. 276, 15893-15897.