ユビキチン修飾系は蛋白質分解にとどまらず多彩な生命活動を制御しており、転写調節機構においても、転写制御因子やヒストン等のユビキチン化を介して、重要な役割を果たしています。従って、遺伝子発現調節の場においても異なるユビキチン鎖の使い分けが行われていると考えられます。ユビキチン系の多様な機能は主にユビキチン鎖の多様性に起因することが明らかになってきましたが、ユビキチン分子自身に対する翻訳後修飾についてはよくわかっていませんでした。私達は、翻訳後修飾分子であるユビキチン自身がアセチル化修飾を受けることを見出しました。そこで本研究では、ユビキチン分子に対する翻訳後修飾が、ユビキチン鎖の多様性の一端を担う可能性を検討し、ユビキチン制御系の新たな制御機構の解明を目指します。アセチルユビキチン等の修飾型ユビキチンや、それらのクロストークがユビキチン制御系の多様性の一翼を担うことを明確にすることを目指すとともに、遺伝子発現調節における役割を解析します。