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研究成果

Research Results

本領域に参加している研究者の研究成果を掲載します。

2013.04.10

太田 智彦(聖マリアンナ医科大学・大学院医学研究科 教授)

セドキーナ・アンナ, 福田貴代, 太田智彦 (2012) BRCA1とDNA損傷応答. 生化学 84, 529-538.

2013.04.10

太田 智彦(聖マリアンナ医科大学・大学院医学研究科 教授)

Sato, K., Sundaramoorthy, E., Rajendra, E., Hattori, H., Jeyasekharan, A.D., Ayoub, N., Schiess, R., Aebersold, R., Nishikawa, H., Sedukhina, A.S., Wada, H., Ohta, T., and Venkitaraman, A.R. (2012) A DNA-damage selective role for BRCA1 E3 ligase in claspin ubiquitylation, CHK1 activation, and DNA repair. Curr Biol. 22, 1659-1666.

乳癌および卵巣癌抑制遺伝子産物BRCA1はDNA損傷修復において重要な役割をはたしている。BRCA1はBARD1と結合してユビキチンリガーゼ(E3)活性を獲得するが、この活性のDNA損傷応答における意義とin vivoでの基質は明らかにされていなかった。本研究ではBRCA1とBARD1の結合には影響を与えずにE3活性を抑制するBRCA1-V26A変異をknock-inしたDT40細胞株を樹立し、DNA損傷応答における役割を解析した。BRCA1のE3活性はDNA損傷のタイプによって必要とされ、DNA架橋剤であるMitomycin CによるDNA損傷に対しては必要とされないのに対して、topoisomerase-1阻害薬 CPT-11によるDNA損傷応答においては、RAD51の損傷局所への誘導および相同組換えに必要であり、BRCA1-V26A細胞はCPT-11に対して高感受性を示した。そのメカニズムとしてBRCA1は、CPT-11損傷に反応してClaspinをユビキチン化し、Claspinのクロマチンからの解離を阻止し、クロマチン上でのATRによるClaspinを介したChk1の活性化に必須の役割を果たしていることが判明した。Chk1の活性化はRAD51の損傷局所への誘導に必要であることが報告されており、この機能を通して相同組換え修復能と細胞のCPT-11感受性に影響を及ぼしているものと思われる。

2013.04.10

川原 裕之(首都大学東京・大学院理工学研究科 教授)

Kawahara, H., Minami, R. and Yokota, N. (2013) JB Review: BAG6/BAT3: Emerging roles in quality control for nascent polypeptides. J. Biochem. 153, 147-160.

BAG6は、免疫応答や細胞死など多彩な生命現象に関与するユビキチン様タンパク質である。最近、BAG6は新合成ポリペプチドの品質管理、特にTA膜タンパク質のアッセンブリに関与することが相次いで報告された。BAG6の広範な機能は、顧客となるTA膜タンパク質群の多様性で説明できうる可能性がある。本稿では、BAG6の生理機能と構造相関について概説し、この系が関与するタンパク質品質管理の研究進展を俯瞰する。

2013.04.10

水島 恒裕(兵庫県立大学・大学院生命理学研究科 教授)

Nishide, A., Kim, M., Takagi, K., Himeno, A., Sanada, T., Sasakawa, C., Mizushima, T., (2013) Structural basis for the recognition of Ubc13 by the Shigella flexneri effector OspI. J. Mol. Biol., doi:pii: S0022-2836(13)00196-4. 10.1016/j.jmb.2013.02.037.

ユビキチン結合タンパク質Ubc13はTRAF6を介した転写因子NF-κB活性化シグナル伝達経路において重要な役割を担っている。赤痢菌は感染の際に、エフェクタータンパク質OspIによりUbc13の100番目のグルタミン残基を特異的に脱アミド化することで宿主の免疫応答を抑制している。この脱アミド化修飾は細菌の感染に際してジアシルグリセロールから始まるTRAF6を介したNF-κB活性化シグナル伝達経路におけるTRAF6の活性化を妨げるものである。
 我々はOspI C62A変異体及びOspI C62A-Ubc13複合体の立体構造を3.0及び2.96Å分解能で決定した。また、決定した立体構造からOspIはUbc13の認識において疎水性表面と電荷的表面を認識することにより特異性を獲得することで、他のエフェクタータンパク質と干渉せずにTRAF6の活性化を阻害していることを示した。

2013.04.10

佐伯 泰(東京都医学総合研究所・生体分子先端研究分野 主席研究員)

佐伯 泰(2012)巨大で複雑な蛋白分解装置の立体構造と活性調節機構「特集/蛋白構造-機能連関解析と治療薬開発への応用」内分泌・糖尿病・代謝内科(科学評論社). 35, 523-532.

2013.04.10

駒田 雅之(東京工業大学・大学院生命理工学研究科 准教授)

Tanno, H. and Komada, M. (2013) The ubiquitin code and its decoding machinery in the endocytic pathway. J. Biochem., doi:10.1093/jb/mvt028

リソソームで分解される細胞膜タンパク質は、エンドサイトーシスにより選択的に細胞内に取り込まれ、エンドソームを経てリソソームに運ばれる。この選別輸送において、細胞膜タンパク質のユビキチン化がその細胞膜からの内在化とエンドソームからリソソームへの輸送を導くシグナルとして働いている。本総説では、このシグナルとなるユビキチン化の様式(ユビキチンコード)と、それを細胞膜とエンドソームで認識するユビキチン結合タンパク質(デコード因子)について俯瞰している。

2013.04.10

嘉村 巧(名古屋大学・大学院理学研究科 教授)

奥村文彦、奥村晶子、中務邦雄、嘉村巧(2013)Elongin BC型E3ユビキチンリガーゼと細胞機能制御. 生化学 85, 76-88.

Elongin BおよびElongin C(Elongin BC)は、Elongin Aの転写伸長活性を増強する因子として報告されたが、近年の研究により、Cullin-RING型E3ユビキチンリガーゼの構成因子であることが明らかにされている。Elongin BCは、足場タンパク質Cul2またはCul5、RINGフィンガータンパク質Rbx1あるいはRbx2、さらには基質認識サブユニットBCボックスタンパク質と結合し、Cullin-RING型ユビキチンリガーゼCRL2やCRL5を形成する。Elongin BCは、BCボックスタンパク質とCullinをつなぐアダプターとして機能するが、われわれはBCボックスタンパク質がさらに二つのグループ、すなわちVHLボックスタンパク質(CRL2の基質認識サブユニット)とSOCSボックスタンパク質(CRL5の基質認識サブユニット)に分類されることを見いだしている。ヒトには、約10種類のVHLボックスタンパク質と約40種類のSOCSボックスタンパク質が存在しており、家族性腫瘍症候群von Hippel-Lindau (VHL) 病の原因因子pVHLやサイトカインシグナルを負に制御する因子SOCS1やSOCS3がよく知られている。本稿では、CRL2およびCRL5発見の経緯やこれらE3により制御される様々な生命現象(がん化、シグナル伝達、細胞運動、分化など)について、最新の知見も含めて紹介している。

2013.04.10

嘉村 巧(名古屋大学・大学院理学研究科 教授)

Okumura, F., Okumura, A. J., Uematsu, K., Hatakeyama, S., Zhang, D. E., and Kamura, T. (2013) Activation of Double-stranded RNA-activated Protein Kinase (PKR) by Interferon-stimulated Gene 15 (ISG15) Modification Down-regulates Protein Translation, J. Biol. Chem. 288, 2839-2847.

ユビキチン様分子ISG15はインターフェロン、遺伝子損傷、病原体感染などにより誘導されることから、初期免疫応答に重要であることが示唆されている。また、ISG15はさまざまなタンパク質の翻訳後修飾(ISGylation)に用いられる。しかしながら、どのようにしてISGylationが初期免疫応答に関与しているのかは明らかとなっていない。dsRNA-dependent protein kinase (PKR)は、ウイルス由来の二本鎖RNAと結合することで活性化され、eIF2αをリン酸化し、キャップ依存的なタンパク質翻訳を抑制することで抗ウイルス活性を発揮する。ISG15とPKRは共にインターフェロンで発現誘導されることから、ISG15あるいはISGylationとPKRによる協調的なタンパク質翻訳制御の可能性が示唆された。詳細に検討した結果、PKRの69番目と159番目のリジン残基がISGylationを受けることを見出した。また、ISG15修飾はウイルス由来dsRNA非存在下でもPKRを活性化し、キャップ依存的なタンパク質翻訳を抑制することも明らかにした。これらの結果はユビキチン様修飾ISGylationによる新規PKR活性化メカニズムの存在を明らかにするものである。

2013.04.10

嘉村 巧(名古屋大学・大学院理学研究科 教授)

Nakatsukasa, K., Brodsky, J.L., and Kamura, T. (2013) A stalled retrotranslocation complex reveals physical linkage between substrate recognition and proteasomal degradation during ER associated degradation. Mol. Biol. Cell, doi:10.1091/mbc.E12-12-0907

小胞体内腔の構造異常タンパク質は、特異的に認識され、小胞体膜を超えてサイトゾルへ逆行輸送(レトロトランスロケーション)された後、プロテアソームによって分解される。この分解系はERADと呼ばれており、過去10年あまりの研究によって、必要なコンポーネントが同定されてきた。しかしながら、内腔の基質をサイトゾルへ送る“孔”を形成する複合体は、未だ同定されておらず、様々なモデルが提案されている。我々は、基質をサイトゾルへ引き出すと考えられているCdc48/p97を不活化すると、プロテアソーム・Cdc48/p97・ユビキチン化基質・Hrd1複合体(膜貫通型E3リガーゼ)・Yos9(内腔の基質認識因子)からなる巨大複合体が形成されることを見出した。この結果は、Cdc48/p97による基質の引き抜きと、プロテアソームへのターゲティングが、強く共役した反応であることを示唆する。また同時に、内腔における基質の認識とサイトゾルにおける分解を、Hrd1複合体が物理的に橋渡ししていることも示唆するものである。