PubMedID 23536702 Journal Mol Biol Cell, 2013 Jun;24(11);1765-75,
Title A stalled retrotranslocation complex reveals physical linkage between substrate recognition and proteasomal degradation during ER-associated degradation.
Author Nakatsukasa K, Brodsky JL, Kamura T
名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻  分子修飾制御学(嘉村巧教授)    中務邦雄     2013/07/04

小胞体内腔の構造異常タンパク質は特異的に認識され、小胞体膜を超えてサイトゾルへ逆行輸送された後、プロテアソームによって分解されます。この分解系はERAD(ER-Associated Degradation)と呼ばれています。過去10年にわたる遺伝学的・生化学的研究によって、ERADに関わる様々な因子が同定されてきました。しかしながら、内腔の基質をサイトゾルへ送る“孔”を形成する複合体は、未だ同定されておらず、様々なモデルが提案されています。我々は、基質をサイトゾルへ引き出す駆動力を考えられているAAA ATPase Cdc48/p97を不活化し、ERADの中心的な膜貫通型E3リガーゼHrd1複合体の状態を、ショ糖密度勾配遠心法と免疫沈降法によって徹底的に解析しました。その結果、Hrd1複合体はサイトゾル側においてはプロテアソーム・Cdc48/p97・ユビキチン化基質と結合し、小胞体内腔では基質の認識因子であるYos9とも結合した巨大複合体を形成することを見出しました。この結果は、Cdc48/p97による基質の引き抜きとプロテアソームへのターゲティングが、強く共役した反応であることを示唆するものです。また同時に、内腔における基質の認識とサイトゾルにおける分解を、Hrd1複合体が物理的に橋渡ししていることも示唆されました。このような一過的に形成される膜タンパク質複合体にどのような因子が含まれ、どのような制御が働いているのか、今後の研究課題と言えます。
   
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