PubMedID 28525741 Journal Mol Cell, 2017 May 18;66(4);488-502.e7,
Title In?Vivo Ubiquitin Linkage-type Analysis Reveals that the Cdc48-Rad23/Dsk2 Axis Contributes to K48-Linked Chain Specificity of the Proteasome.
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公益財団法人 東京都医学総合研究所   蛋白質代謝研究室    土屋 光     2017/06/12

Cdc48-Rad23/Dsk2軸がプロテアソーム分解の主要経路である
私たちの最近受理されました論文を紹介させていただきます。

ユビキチン結合ドメイン (UBD: Ubiquitin-binding domain)をもつタンパク質 (UBDタンパク質)は異なる構造のユビキチン化を特異的に認識し、下流に情報を伝達するデコーダー/リーダータンパク質として想定されていますが、これまではvitroでの解析が中心で、細胞内において実際にどの種類のユビキチン鎖を認識しているかについてはわかっていませんでした。私たちは以前、高分解能質量分析計を用いたユビキチン鎖の超高感度絶対定量法(Ub-AQUA/PRM:Ubiquitin-Absolute QUAntification/Parallel Reaction Monitoring)の開発に成功していたので、本方法を用いることでUBDタンパク質が細胞内で認識するユビキチン鎖タイプを明確にすることができると考えました。そこで、出芽酵母の主要な14種類のユビキチン結合タンパク質が認識するユビキチン鎖の種類を網羅的に定量解析しました。その結果、それぞれのUBDタンパク質に結合するユビキチン鎖の種類は機能と相関した選択性をもつことが明らかとなりました。

 続いて、プロテアソームと相互作用するユビキチン鎖の絶対定量をおこなったところ、細胞内でプロテアソームは主にK48鎖及びK29鎖と相互作用していることが明らかとなりました。また、これまでは細胞内でプロテアソームはユビキチン化基質を直接認識して分解すると考えられていましたが、ユビキチン選択的シャペロンCdc48/p97とシャトル分子Rad23/Dsk2を介した間接的な経路がプロテアソーム依存的タンパク質分解の主要経路であることを明らかとなりました。さらに、プロテアソーム分解におけるK48鎖特異性はCdc48のコファクターNpl4が担っていることを発見しました。これらの知見からユビキチン結合タンパク質がユビキチンシグナリングのデコーダー分子であることが明確となりました。

 この論文を投稿するにあたり質量分析計でひたすら定量解析をおこなわなければならず(数百run)、かなり時間がかかり苦労しましたが、周りの方々のご協力のおかけで投稿することができました。この場を借りてお礼申し上げます。
   
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