PubMedID 23287719 Journal Science, 2013 Feb 1;339(6119);590-5,
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Title A strategy for modulation of enzymes in the ubiquitin system.
Author Ernst A, Avvakumov G, ..., Dhe-Paganon S, Sidhu SS
東京工業大学生命理工学研究科  駒田研究室    早川 哲     2014/01/14

ユビキチン修飾系で働く酵素の人為的な制御戦略
脱ユビキチン化酵素(DUB)は様々な疾患に関与しています。しかしながらDUBなどに対する効果的な特異的阻害剤の報告例はきわめて少なく、DUBを標的とした治療薬の開発の大きな障壁となっていました。本論文において、DUBの活性部位に選択的に結合するユビキチン変異体を用いることで特定のDUB活性の選択的制御を可能にする手法が報告されているので紹介したいと思います。

ユビキチン分子とDUBの活性部位との結合は非常に弱く、構造解析のためのユビキチンとDUB活性領域の複合体の形成にはユビキチンC末端を修飾するなどの手法が用いられていました。筆者らは、ユビキチン分子の76個のアミノ酸のうち、DUBの活性部位と相互作用する部位に着目しました。その部位のアミノ酸群を多様な組み合わせで置換したユビキチン変異体のライブラリーをスクリーニングすることにより、特定のDUBの活性部位とのみ強く結合し、その活性を特異的に阻害するユビキチンバリアントの開発に成功しています。この阻害の仕組みをDUBとユビキチンバリアントの複合体の結晶構造を解析することにより詳述しています。また実際にこれらのバリアントが細胞内で標的DUBの活性を制御できることを証明しています。さらに脱ユビキチン化酵素だけでなくユビキチンバリアントがE3酵素に与える影響を解析し、バリアントの中にはE3の活性を高めたり、E2酵素との結合力を高めたりするものが存在することを見いだしています。

これらユビキチンバリアントは細胞内で選択的な機能を果たし、ユビキチン修飾系において特異的な酵素反応の調節や解析を可能にすることを示唆し、バリアントの構造に基づいた低分子の薬の開発にも応用できると結論づけています。
   
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